Steve Lacy Solo  



  1980年代半ばの85年から86年にかけて、「Outings」をはじめ、「Only Monk」や「Deadline」他などスティーヴ・レイシーのソロ作品が集中して録音されている。本作もその中の一つで、LPは発売されなくて91年にCDで初登場した模様です。この作品はパリでのライヴで、ここでのレイシーは、過激なプレイをやや抑制し、時に優しく、時に情熱的に響く、ソロにしては比較的聴きやすい作風に仕上がっています。なお、冒頭のセロニアス・モンク作曲〈ワーク〉以外はレイシーのオリジナルです。

1曲目〈ワーク〉、滑らかな澄み切ったソプラノ・サックスでテーマを奏でる。このあと、レイシーの太く柔らかなプレイが実にのびのびとして爽やかです。

2曲目〈モーニング・ジョイ〉、暖かくふくよかな音色でテーマが流れ、レイシーのソプラノ・サックスがまるで宙を軽やかに舞う鳥のように演奏されているように感じます。

3曲目〈コーストライン/デッドライン〉は、スロー・テンポで、柔らかく優しいソプラノ・サックスが奏でるメロディー。太く滑らかなプレイが心地いい。後半の曲では、サックスで人がしゃべっているような音、レイシー特有のガーガー言う音など多彩な音色を聴かせます。

4曲目〈クリシェ〉は、陽気なソプラノ・サックスが軽快に小気味よくメロディーが流れる。ダイナミックで躍動感のある音色と疾走感溢れるプレイは圧倒的。

5曲目<リトリート〉、ゆっくりとしたテンポで、ソプラノ・サックスの透き通った伸びやかなテーマが流れていきます。レイシーは自由奔放に、洗練された表現豊かなアドリブを展開しています。

6曲目〈ザ・グリーム〉は、柔らかく落ち着いた音色で始まり、レイシーがテンポ良く、低く太く厚いソプラノ・サックスのブロウで繰り広げています。

7曲目の〈リマイン・ポコ〉、ゆったりとした艶やかな音色のレイシーのソプラノ・サックスは、哀愁と寂寥を感じさせる美しいフレーズを丁寧に積み重ねていく。

   

 Recorded. December 6, 1985. in situ. 

 Steve Lacy soprano sax

 1. Work 3:12
 2. Morning Joy 6:45
 3. Coastline/Deadline 9:38
 4. Clichés 4:59
 5. Retreat 7:03
 6. The Gleam 4:38
 7. Rimane Poco 6:13